支援者インタビュー

心の車いすをつくるプロジェクト、それが分身ロボットOriHime/吉藤健太朗


株式会社オリィ研究所 代表取締役
吉藤健太朗

「首を動かし、腕を動かし、周囲を自由に見渡して、近くの人に視線を送り、会話をしたい」
2013年3月、大田区に住んでいたALS患者さんとの出会いで、プロジェクトは始まりました。

「お母さんを連れて、桜を見に行こう」
ALS患者さんの娘である女性が、OriHimeを持ち、マンションを出てお花見に行きました。OriHimeからは小さい声ながらも未だ鮮明に話す事ができるお母さんの声が聞こえ、「綺麗だね」と、何年かぶりの母娘での花見が実現しました。

距離や、身体的な問題で、会いたい人に会いに行けない、行きたい行事があるのに行けない。しかし、身体は難しくても、心は運べるかもしれない。
心の車いすをつくるプロジェクト、それが分身ロボットOriHimeです。

小学校5年から中学2年まで、療養のためほとんど学校に通う事ができなかった株式会社オリィ研究所、所長の吉藤健太朗が2010年に開発し、改良を続けてきました。

OriHimeは、だれでも簡単に操作できる“あなたの分身コミュニケーションロボット”です。
自宅や職場など、自分の行きたい場所に、自分の代わりとしてOriHimeを持って行ってもらいます。あなたはiPhoneやPCを使い、そのOriHimeを遠隔操作できます。
OriHimeはカメラとマイクとスピーカーを内蔵しており、OriHimeの周囲の人たちと同じものを見て、話を聞いて、また声を出し、動作をする事ができます。インターネットで接続するので、地球の裏側にあっても問題ありません。

たとえばOriHimeが家のリビングにあれば、あなたはいつでも家に帰り、リビングにいる家族とテレビを見ることができます。
たとえばOriHimeが学校にあれば、あなたは黒板を見て先生の話を聞き、休み時間には友達と雑談をすることができます。

家族の住む家、友達のいる学校、勤めている会社、結婚式など参加したい行事など、
そこにOriHimeで参加することで、周りの人も、あなたが来ている事を感じられ、同じ体験をし、一緒の思い出を作る事ができます。

電話やテレビ電話のように会話や用を伝えるだけではなく、自分のもう一つの身体としてそこにしっかりと存在し、動いたり、周りの人と一緒にテレビを見たり、拍手やハイタッチしたり、団欒したりなどのコミュニケーションをとることができます。

2013年、Yさんとの出会いをきっかけに、ALSの分身として、周囲を見渡したり、身体表現コミュニケーションを代替するOriHime for ALS の研究開発もスタートしました。

日本ALS協会と連携し、ALS患者さんの視線の向きでOriHimeを操作できるようにし、また写真を撮ったり、文字を入力してしゃべる事もできるようになりました。ALS患者さんが良く使う「透明文字盤」と全く同じ感覚で使えるようになっており、視線入力が慣れていない方でもお使いいただけます。

2014年には、ALS協会の岡部宏生さんが二足歩行OriHimeを操作し、日本武道館のステージ上から1万人に挨拶するというデモンストレーションも行いました。

実際に使われている様子をご覧ください

2015/7 ノルウェー国営放送局NRKにて放送 “パパはロボット”
http://www.nrk.no/dokumentar/xl/er-pappa-via-robot-1.12282264

心が自由なら、不可能な事はない
ベッドから動けなくても、会いたい人に会い、社会に参加し、活躍できる社会を目指してこれからも研究開発を続けていきます。(2016年5月記)

オリィ 吉藤健太郎

チームOriHimeのメンバーとともに。左から二人目が吉藤さん

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