2月14日、衆議院予算委員会が行われ、上野賢一郎議員がALS新薬「トフェルセン」をはじめとするドラッグ・ロス問題への今後の対応について、武見敬三厚生労働大臣に質問した際の回答を以下にまとめました。
尚、ALS協会では、上野議員に情報提供を行うなど、昨年より協力体制をとりながら新薬トフェルセンの早期承認、そしてドラッグ・ロス問題の改善に向けて活動を続けています。
以下、【概要】【質疑詳細】【ビデオライブラリー】と続きます。
【概要】
◆ドラッグ・ロス問題について
武見厚生労働大臣は、「世界で開発されている新薬300品目の中で、日本で薬事申請が行われていない薬が7割近く存在し、この状況が続くと日本が先進国としての臨床レベルから後退する」と述べられました。
◆既存の取り組み
厚生労働省は昨年6月に報告書をまとめ、未承認の小児がん治療薬を国立がんセンターが実施するAMED研究事業において、患者申し出療養などを活用し、その安全性や有効性を評価しながら使用する臨床研究を今年1月から開始しています。
◆トフェルセンについて
トフェルセンは昨年4月に米国で迅速承認され、現在開発企業が日本での薬事申請に向けてPMDAと相談を行っています。
トフェルセンについては、企業から承認申請がなされた場合には、PMDAにおいて迅速に審査を進め、有効性・安全性が確認されれば速やかに承認する意向とのことです。
◆ドラッグ・ロス解消への取り組み
我が国独自の医薬品の開発も極めて重要であり、ベンチャー、アカデミア、製薬企業などが相互に協力して創薬に取り組むエコシステムを構築し、創薬基盤を再構築することでドラッグ・ロスの解消に国をあげて取り組む所存であると述べられました。
【具体的質疑】
上野賢一郎議員「ドラッグ・ロスについてお伺いします。昨年、ALS患者会(日本ALS協会)の方々と共に新薬トフェルセンの早期承認陳情を行いましたが、今、直面するドラッグ・ロスの問題、あるいは近い将来必ず直面するこの問題にどう対応していくのか厚生労働大臣に所見をお伺いします」
武見厚生労働大臣「世界で開発されている新薬300品目の中で、日本で薬事申請が行われていない薬は7割近くあり、このドラッグ・ロスの状況が続くと日本が先進国としての臨床レベルからも確実に後退するという、非常に深刻な事態にあると思っています。
一例ではありますが、昨年6月に厚生労働省では報告書を取りまとめ、施策に基づき上野委員が指摘される医薬品のアクセス改善が実施されています。
未承認の小児がん治療薬を、国立がんセンターが実施するAMED研究事業において、患者申し出療養などを活用し、その安全性や有効性を評価しながら使用する臨床研究を本年1月から開始をいたしました。
また、上野委員ご指摘のALS治療薬トフェルセンにつきましては、昨年4月に米国で迅速承認されたと承知しており、現在国内企業が日本での薬事申請に向けてPMDAと相談を行っております。トフェルセンについては、企業から承認申請がなされた場合にはPMDAにおいて迅速に審査を進め、有効性・安全性が確認されれば速やかに承認してまいりたいと思います。
こうしたドラッグ・ロスの解消には、我が国独自の医薬品の開発も極めて重要です。ベンチャー、アカデミア、製薬企業などが相互に協力して創薬に取り組むエコシステムを構築して、創薬基盤を再構築することでドラッグ・ロスの解消に国をあげて取り組んでまいる所存でございます」
【ビデオライブラリー】
以下をクリックすると2月14日の予算員会のビデオライブラリーを視聴できます。
58分20秒の時点から上野議員のトフェルセンの早期承認を例に挙げたドラッグラグ・ドラッグロスとで質疑が始まります。
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54895&media_type=